毎日放送ラジオ 加藤ヒロユキ週末のソムリエ平成20年5月連続放送内容:

ドクターM  5月3日(土)  

第1回 「メタボリック症候群と特定健診制度」

Q1.特定健診・特定保健指導が始まりましたが、どのようなものですか?
A1.メタボリック症候群に重点をおいた新しい健診のしくみです。40才から74才のすべての国民が同じ健診を受け、メタボリック症候群やその予備群であることがわかると、医療機関を受診するか、保健指導を受けるように、勧められます。

Q2.メタボリック症候群に重点をおいているのはなぜですか?
A2.糖尿病・高血圧症・脂質異常症などの生活習慣病が大変な勢いで増えています。これらの生活習慣病が原因となって心筋梗塞や脳梗塞なども増加しています。メタボリック症候群を中心に考えると、これらの病気の予防や医療がわかりやすくなります。

Q3.メタボリック症候群とは
A3.運動不足や栄養の摂りすぎにより、特に、おなかの中に脂肪が多くたまった状態を言います。昔からズボンのベルトの穴が3cm延びると寿命が3年縮むといわれていました。それと同じです。実際、メタボリック症候群では、おなかの中にたまった脂肪が、いわば“病気の素”をたくさんつくるようになります。反対に、“健康の素”をあまりつくらなくなります。おなか周りが男性で85cm、女性で90cm以上ある場合に、血糖・血圧・脂肪の検査の結果からメタボリック症候群を判定します。

Q4.特定健診はどのようにして受けるのですか?
A4.会社で毎年健診を受けている人は、例年と同じです。自営業の方や主婦の方などには健康保険証の発行元から特定健診の受診券がおくられてきます。健診をしているところのリストが一緒に送られてくると思いますので、お近くの医療機関にお問い合わせの上この受診券と健康保険証の両方をもって受診してください。

Q5.大阪市の国民健康保険に加入している人にはすでに受診券が届いているそうですね。
A5.はい、4月下旬に届いているはずです。券といっても結構大きな紙です。大阪市国保の受診券は1年間有効ですので、時期をみて受診してください。この4月から始まったばかりで、医療機関もまだ制度になれていませんので、できれば少し時間がたってから受診していただくと助かります。ただし、引越しの予定がある方は、引越し前に受診してください。

Q6.特定保健指導とは何ですか?
A6.健診の結果、メタボリックシンドロームやその予備群と判定されると、どのように生活を改善すればよいかアドバイスを受けていただくことになります。これを保健指導といいます。詳しくは再来週にお話いたします。

Q7.特定健診制度には問題も多いようですね。
A7.はい、いろいろな面で問題点が指摘されています。まず、広報がきちんとされていないこと。これは長寿医療、すなわち、後期高齢者医療制度でも同じでしたね。また、個人の生活に国が介入してもよいのかという問題。メタボリック症候群の診断方法にも問題があります。でも、最大の問題点は、国が国民の健康を守るためにこの制度を始めるのだという理念が感じられないことだと私は思っています。

Q10.国民の健康を守るために始めるのではないのですか?
A10.先月、中川やよい先生もお話になっておられましたが、国が特定健診制度を始める一番の目的は医療費を減らすことです。国民が健康になれば医療費が減る。そのためにこの制度を始めるのだと公言してはばかりません。国民は医療費を減らすために健康にならないといけないのでしょうか?ちょっと変だと思いませんか?

Q11.先生はこの制度をどのように考えておられるのですか?
A11.制度の基本的な考え方は正しいと思います。特定健診制度は、国民が自分の健康状態を知り、必要な医療や保健指導を受け、計画的に健康管理をおこなうためのものです。その結果、医療費が減るのであれば結構なことです。そして、われわれ医師も、国民の健康を守ることをわれわれの責務であると考えており、そのための努力は惜しみません。ただし、この制度にはいろいろとおかしなルールがありますので、これを正しいルールに変えていくように、医師会が中心となって訴えていかなければならないと思っています。

Q12.先生は救急医療のためのメタボ貯金を提唱されておられますね。
A12.はい、特定保健指導の予算の使い方も、本当にこれでよいのか疑問です。簡単に言えば、85cm以上あるウエストを、医療保険のお金を使って85cm以下にすることが目的なのですが、今、ほんとうに一番必要なことでしょうか?私は、保健指導の予算の半分を救急医療にまわすべきであると考えています。今、何より急ぐことは、壊れつつある救急医療を立て直すことです。私は保健指導のお金を節約し、救急医療にまわすメタボ貯金を提唱したいと考えています。メタボ貯金については月末の第5週にお話させていただきます。
ドクターM  5月10日(土)  

第2回 「特定健康診査、すなわち特定健診とは」

Q1.先生には先週、メタボリック症候群と、この4月から始まった新しい健康診断のしくみについて伺いました。
そこで「特定健診」というものを受けることになるんだと言っておられましたが「特定健診」とはどのようなものですか?
A1.40才から74才までのすべての国民が受ける健診です。問診票の記入・診察・身体測定・血液検査・尿検査からなります。

Q2.特定健診の特定というのはどういう意味ですか?
A2.国が法律で「目的」や「対象」を決めた健診であるという意味です。
この健診は「メタボリック症候群」が対象となっています。
今、道路「特定」財源が話題に上っていますよね。この「特定」も、同じ意味です。

Q3.特定健診はどのようにして受けるのですか?
A3.会社で毎年、健診を受けている人は、例年と同じようにうけます。自営業の方や主婦の方などには健康保険証の発行元から特定健診の受診券が送られてきます。受診券と一緒に健診を受けられる医療機関のリストが送られてくると思いますので、ご都合のいいところを選んでお問い合わせの上、受診券と健康保険証の両方を持って受診してください。

Q4.健康診断なのに健康保険証が必要なのですか?
A4.はい、この健診は健康保険証を発行しているところが責任をもって行います。それで、確認のために健康保険証が必要になります。
健康保険証を発行しているところのことを医療保険者といいます。たとえば国民健康保険であれば大阪市などの市町村、また、会社にお勤めの方の保険の場合、自分の会社の健康保険組合などのことです。特定健診について何か疑問な点があれば、健康保険証に書かれている連絡先にお問い合わせください。

Q5.特定健診にはどのような項目があるのですか?
A5.まず、所定の問診票に記入します。「はい」か「いいえ」で答えてください。糖尿病・高血圧症・脂質異常症の治療のためにお薬を飲んでいるかどうか答える必要がありますので、わからない方は、かかりつけのお医者さんにあらかじめ尋ねておいてください。診察では血圧を含む一般的な診察を、身体測定では身長・体重・おなかまわりを、血液検査では糖尿病・脂質異常・肝臓機能を、尿検査では蛋白と糖を調べます。

Q6.結果を聴くにはどうすればよいのですか?
A6.後日、健診を受けた医療機関で説明を受けてください。

Q7.特定健診を受けるのに費用はかかりますか?
A7.医療保険者によって、費用がかかる場合とかからない場合があります。有料であるか無料であるかは、特定健診の受診券に書かれていると思いますので確認してみてください。

Q8.健診の結果によって保健指導を受けることになると聞きましたが。
A8.はい、メタボリック症候群の基準を満たした場合が対象となります。
おなかまわりが男性で85cm以上、女性で90cm以上であるかどうか、血糖・血圧・血液脂肪に異常があるかどうかなどで判定して、運動習慣や食生活を改善するためのアドバイスを受けていただくことになります。これを特定保健指導といいます。これについては来週くわしくお話させていただきます。

Q9.特定健診で「がん」がわかりますか?
A9.いいえ、がんはわかりません。がん検診は特定健診と別に行います。特定健診はあくまでも生活習慣病に限ったものです。がん検診のうけ方については、市役所や保健所などにお尋ねください。

Q10.特定健診の問題点をまとめてください。
A10.健診項目が生活習慣病に限られているため、他の病気の項目が少なくなっています。特定健診で異常がないからといって、全く健康であるという意味にはならないことを、まず知っておいてください。
また、健診結果報告書にメタボリック症候群の判定が記入されている場合があります。メタボリック症候群判定であてはまらない、すなわち、「非該当」と判定されたのに、保健指導で積極的支援を受けなさいなどということも珍しくないと思います。ルールがまだ整備されていないために、そのようなことが起こりますので、あらかじめご了解ください。保健指導レベルの判定などに疑問点があれば、健診を受けた医療機関ではなく、受診券の発行元である医療保険者の方に、質問していただけますようお願いします。

ドクターM  5月17日(土)  

第3回 「特定保健指導とは」

Q1.先週お話いただいた、「特定健診」のお話で、この特定健診を受けた結果、特定保健指導を受ける人がいるということでしたがどのようなものですか?
A1.健康によい運動習慣や食生活についてのアドバイスのことです。特定健診の結果、メタボリック症候群であるか、あるいは、その予備群であると判定された方が対象になります。医師、保健師、栄養士などが担当します。特定保健指導にはメタボリック症候群の程度によって2段階あり、程度が軽い場合を動機付け支援と言い、重い場合を積極的支援といいます。

Q2.動機付け支援では具体的には何をするのですか?
A2.たとえば、最近太ってきて糖尿病になりかかっているとしましょう。特定健診で糖尿病の項目に異常があり、また、問診表への回答内容からそのかたの運動習慣や食生活に改善の可能性があることがわかると、どのように生活を工夫すればよいのかアドバイスさせていただきます。仕事でどうしても夕食が遅くなるのであれば、夕食の中味を工夫するとか、1日に歩く距離が少ないのであれば、1つ手前の駅でおりて歩くというようなご提案をします。指導は1回だけで、だいたい20分程度になると思います。

Q3.メタボリック症候群の程度が重い場合はどうなるのですか?
A3.生活習慣病であることがはっきりしている場合は、治療が必要ですので、医療機関を受診していただくようお勧めします。予備群でも程度の重い場合は、積極的支援といって、20分程度の指導を数回受けていただき、その間に電話や電子メールで連絡させていただきます。ウォーキングの実地指導や調理実習みたいなものもあるかもしれません。

Q4.特定保健指導はどのようにして受けるのですか?
A4.会社で健診を受けた方の場合には、会社から対象者のかたに連絡があると思います。特定健診の受診券を受け取って医療機関で健診を受けた方の場合には、健康保険証の発行元である医療保険者から特定保健指導の利用券が送られてきます。特定保健指導を実施している施設のリストが同時に送られてくると思いますので、都合のよいところを選んで、お問い合わせの上、利用券と健康保険証の両方を持ってお越しください。特定健診をうけた医療機関でないところで保健指導を受けていただいてもかまいません。また、医療機関以外のところでも実施している場合もあります。

Q5.行動変容という言葉がキーワードだとききましたが。
A5.行動変容というのは、自分の判断で自分の行動や生活習慣について工夫をするということを意味します。今までにも糖尿病などの生活習慣病治療として栄養指導が行われてきました。ただ、今までの指導では、たとえば、「あなたは身長が170cmなので、標準体重は64kgです。だから、望ましい食事は1,800Kcalです」というふうに決まった指導をする場合が多かったのですね。実際、実行が伴わない場合も少なくありませんでした。病気があると分かっている人でもなかなか難しいのですから、予備群の人が日常生活で決められたカロリーを守って食事をするなどという事は至難の業です。これに対して特定保健指導では、「あなたの1日の歩数は4,000歩しかありません。1日7,000歩くらい歩くと健康にいいですよ。歩数を増やすために、地下鉄1駅分余分に歩くような工夫をしている人もいますよ。」というふうに、指導を受ける人に情報として伝え、指導を受けた人が、「それでは、仕事の帰りに、この区間を歩いてみようか。」というように自分で決めて自分で実行する。これが行動変容です。

Q6.生活習慣を変えることはなかなかむずかしいでしょうね。
A6.はい、分かっているけど変えられないのが習慣です。でも、分かっているようでいて、分かっていない場合もあります。その意味でも、きちんと知るという事は大切です。また分かっているとしても、特定健診・特定保健指導を年に1回受けていただくことで、あらためて思い出していただき、いつか実行してみようと思い立つきっかけになるかもしれません。まあ、その程度に考えていただくとよいと思います。

Q7.保健指導を受けるようにいわれた場合、かならずうけないといけないのですか?
A7.いえ、受けなくても、その方に特に不利益があるというわけではありません。ただ、その健康保険に加入している人全体で見たときに、保健指導を受ける人の割合が極端に低いと、保険料などに影響する可能性があるかもしれません。

Q8.保健指導を受けるのに費用が必要ですか?
A8.医療保険者によって有料の場合と無料の場合があると思います。特定保健指導の利用券で確認してください。

Q9.先生は特定保健指導をどのように考えていますか?
A9.糖尿病などの生活習慣病患者が大変な勢いで増えています。さらにこれからも増えることが予想されるため、国全体として取り組む必要があることは間違いありません。そのためには、発症前の予備群のうちに、みなさんにご自身の健康についてきちんと意識していただくことが大切であると思っています。ただ、特定保健指導はこれからはじまる制度で、われわれもほとんど経験がありません。特定保健指導を意味のあるものにするためにはどうすればよいか、しっかり考えていく必要があると思っています。

ドクターM  5月24日(土)  

第4回 「特定健診制度の意味」

Q1.特定健診制度にはどのような特色があるのでしょうか?
A1.特定健診制度がメタボリック症候群を重点的に取り上げていることについてはすでにお話しました。特定健診制度には、さらに、もうひとつの特色があります。それは、すべての国民の継続的な健康管理ということです。

Q2.すべての国民というのはどういう意味ですか?
A2.今までの健診は、会社や市町村などが対象者を決めて実施していました。ただし、会社によっては健診を実施していなかったり、市町村でも案内が不十分であったりすることもあり、すべての国民が健診を受けることができる体制になっていたとはいえませんでした。健診を実施する責任があいまいであったといってもいいかもしれません。
特定健診では健康保険証の発行元である医療保険者が責任をもって健診を実施します。すべての国民は、かならずどこかの健康保険に加入していますので、医療保険者が健診を実施すると、確実に健診の実施をご案内することができ、また、どれくらいの人が健診を受けたのか、誰が健診を受けたのか、あるいは、誰が受けていないのかが分かるようになります。
先日、糖尿病とその予備群の患者数が1,870万人であると報道されました。中高年では実に3人に1人です。多くの生活習慣病に症状がないことを考えると、対象年齢にあたるすべての国民が健診を受けることができるということは、とても重要なことだと思います。

Q3.継続的な健康管理というのはどういう意味ですか?
A3.特定健診制度ではすべての国民に健診の案内をするだけでなく、一人ひとりの毎年の健診結果を医療保険者がきちんと保存するようになりますので、だれでも、いつでも、自分の昔の健診データを見ることができるようになります。今までの健診では、データを会社や市町村がバラバラに持っており、しかも一年前のデータさえわからない場合も少なくなかったので、それに比較しますと、一生のデータがまとまって一箇所に保管され、健康づくりに役立てることができるということは、たいへん価値が大きいことであると思います。

Q4.個人情報の保護については大丈夫ですか?
A4.健康情報という極めて重要な個人情報を取り扱っているのだということを、医療保険者のかたがたにはくれぐれもしっかりと認識していただきたいと思います。これが漏れると大変なことになります。たとえば、簡単な例ですが、あるひとが糖尿病の予備群であるという情報がもれて、民間の生命保険に加入することを断られたり、あるいは、加入できても、保険料が高くなってしまうというようなことも、ないとはいえません。私は、個人情報保護について、国民自身が医療保険者をしっかり監視しなければならないと思っています。

Q5.生活習慣病の医学研究や政策づくりにも役立つとききましたが。
A5.特定健診の結果を医療保険者がとりまとめて、最終的に国がデータを集計することになります。国民全体の健康状態がわかるとともに、病気の研究や健康づくりの政策にも大いに役立ち、その価値は計りしれないと思っています。

Q6.国は医療費適正化のために特定健診を実施するといっていますが。
A6.生活習慣病の予備群の段階で保健指導を行う事によって、生活習慣病の発症を予防することができるので、国民の医療費が節約できるのだと国は説明しています。しかしながら、多くの医者や学者はこの考え方には疑問を持っています。少なくとも、特定健診が実施されるとたくさんの生活習慣病患者があらたに見つかることになると思いますので、しばらくの間、医療費が増えることは間違いありません。
私は、重要なことは、医療費を節約することではなくて、予算を効果的に国民の健康づくりに役立てることであると考えています。そのためには医師会が中心となって特定健診制度をどのように運用したらよいのかを訴える必要があると思っています。
ドクターM  5月31日(土)  

第5回 「特定健診制度の問題点」

Q1.特定健診制度にはどのような問題点があるのでしょうか?
A1.まず、第一の問題は、個人情報を守るためのルールが、まだ、きちんと定まっていないことです。今まで、健康保険証の発行元である医療保険者の仕事は、保険料や医療費などのお金をとり扱うことが主なものでした。特定健診制度が始まって、個人の健康情報を扱うことになりましたので、その責任は以前とは比較にならないほど重くなったといえます。私は、医療保険者の方々の意識がそれについていけているのかどうかが心配です。医療保険者の方々への倫理教育と、情報が漏れないようにする仕組みづくり、また、もし、わざと情報を漏らした場合には厳罰に処するというルールづくりが必要だと思います。国民は自分が加入している健康保険の医療保険者を厳しく監視することが必要です。

Q2.メタボリック症候群でないのに保健指導を受けるようにいわれることもあるそうですね。
A2.ルールがきちんと整備されていないために、いろいろとおかしなことが起こると思います。たとえば、メタボリック症候群の判定で、非該当、つまりあなたはメタボリック症候群ではありませんよといいながら、特定保健指導を受けてくださいというようなことが起こる可能性があります。変だなと思ったら、医療保険者にご質問ください。

Q3.同じ健康保険に加入している人の多くが特定健診や特定保健指導を受けないと、みんなの保険料が高くなることがあるのですか?
A3.個人が健診や保健指導を受けなくてもとくに不利益はないのですが、全体でみて、多くの人が健診や保健指導を受けない場合、将来的にその同じ健康保険に加入しているみなさんの保険料が高くなる可能性があります。私は個人的にはこのルールはおかしいと感じていますし、他にもこのルールに反対している人も多く、これから関係者が相談して、国民に迷惑をかけることがないようきちんと改める必要があると思っています。

Q4.先生は保健指導の予算についてもご意見がおありだそうですね。
A4.保健指導の予算の使い方についても考えるべきことがあると思っています。特定保健指導は、一言で言うと、たとえば男性なら85cm以上あるウエストを85cm未満にするために、健康保険の保険料と税金を使って、一人ひとりにアドバイザーが付いて指導するという制度です。生活習慣病の患者が大変な勢いで増えているため、健康づくりに予算を使うことが大切であることは間違いありません。しかしながら、まだ、特定保健指導はこれからはじまるところですので、どのようにすれば最も効果的であるのかをきちんと調べてから、少しずつ皆さんに利用してもらうのがいいと思っています。
また、今、医療にかけるお金を減らしすぎたために、さまざまな問題がおこっています。その中で、保健指導はもっとも優先するべき課題であるとみなさんは思われますか?

Q5.救急医療などのことですね。
A5.はい、救急医療がこわれつつあり、目の前の命を救うことができない悲しい時代になってしまいました。救急担当の先生方は、日夜、懸命の努力をしておられますが、それにも限界があります。今、何より必要なことは、可能な限りの予算を救急医療にまわすことであると私は思っています。

Q6.救急医療のためのメタボ預金を提唱されていますね。
A6. 特定保健指導は、対象者にアドバイザーがついて行うことになっており、これに大きな予算をさくことになります。でも、健康づくりは適切な目安があれば自分でもできることではないでしょうか?男性が自分で85cm以上あるウエストを85cm未満にすることができれば、一人当たり5,000円から場合によっては50,000円もの医療保険のお金を節約することができます。もちろん、自己負担がある場合には、本人がそれを支払わずにすみます。こうしてみんなで節約すれば、使わずにすんだお金がたまってくることになりますので、私はこの使わずにすんだお金をメタボ預金と呼びたいと思います。自分で頑張ったごほうびに、その節約してためたお金の一部を、救急医療や小児科・産科医療など、今、絶対に必要な分野に優先して使うように、みんなで国に要求してはどうでしょうか?もとはといえば、医療保険の予算は健康保険料と税金なのですから、その使い道を、われわれ自身で考え、本当に必要なところに使うように要求する権利がわれわれにはあると思います。メタボ貯金とは、自分で健康づくりをすることによって浮いたお金を、今、本当に必要な医療の分野につかうルールのことを意味します。自分自身で健康づくりに励むことで救急医療の再建に役立つのであれば、みなさんも本気になるのではないでしょうか?